一般的に、カルシウム=石灰という形で認識されており、以前から土壌の中和剤(酸度矯正)として使用されてまいりました。
しかし、石灰類を施し続けた土壌は土壌中の石灰含有量が増え、pH値が年々上昇しアルカリ化の傾向がみられるようになりました。
その結果、様々な障害を引起こす要因の一つになっています。土壌中にカルシウムが多量にあるのにそこに生育する作物が、カルシウム欠乏を起こしてしまうといった奇妙な現象が生じているのです。
この様に、作物に十分カルシウムを吸収させる必要があるにもかかわらず、石灰類が施せないといった場合には、土壌中のpHを上昇させず、農作物に栄養素としてのカルシウムの補給ができるのは『カルゲン』です。
農作物の生育に必要不可欠な養分は、多量要素9種類、微量要素7種類の16元素で構成されています。
カルゲンは、多量要素に含まれるカルシウム(Ca)とイオウ(S)が主成分です。
本来、石灰類 (炭カル)は水に溶けにくく、作物に吸収されにくい資材の一つです。
その点カルゲンは、石灰類(炭カル)に比べ水に溶けやすく、作物に吸収されやすいので、あらゆる作物の体質改善・品質向上・食味向上・鮮度保持(貯蔵性向上)が期待でき、とても使いやすいカルシウム補給材です。
区分 | カルゲン | 石灰質肥料 |
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原料 | 石膏(農業用) | 一般的には炭酸石灰・炭酸苦土石灰・カキ殻石灰などの総称 |
pH | pH4.0前後の酸性 溶解が進むとpH6前後(多くの作物が好むpH)に安定 連用しても作物の生育障害が起こらない |
pH7.0以上のアルカリ性 過剰施用又は連用により、pHが上昇作物の生育障害が起こりやすくなる |
溶解度 | 水1Lに2.59g溶解 | 水1Lに0.015g溶解 |
目的と効果 | 水に溶けやすく、作物に吸収され易い カルシウムの養分補給には最適 |
水に溶け難く、作物に必要なカルシウムの養分補給としてはあまり期待できない 土壌に残留しやすいため、酸度矯正には適している |
代掻き時には、水田の水はドロドロに濁ってしまいますが、カルゲンを元肥施用していると、翌日には澄んだ水に戻ります。 これは、カルゲンの主成分である「カルシウム」のイオンの働きで、土壌コロイドを吸着させるからです。
右の写真は水田の土壌を同量計量し、同量の水を入れ攪拌し、一時間放置した状態です。 カルゲンの投入されたビーカーは、濁り水が軽減されています。 これと同じ現象が本田でおこっています。 代掻き前にカルゲンを施用し、代掻き作業を行うと、翌日には圃場の水は澄んだ状態に戻っています。 また、土壌の団粒化構造が形成されますので、フワフワの土になります。