焼石膏の粉量と水量は正確に計量してお使いください。銘柄毎の水量は各製品をご参照ください。
石膏泥漿(スラリー)を作るための容器や撹拌器具は、毎回よく洗ってからお使いください。以前に使用した石膏が付着していると、硬化を早めたり、異常膨張や強度低下の原因となります。作業に最適な粘性のあるスラリーを得るためには、適正な撹拌をすることが重要です。容器の大きさに合った撹拌器具、あるいは必要に応じて真空撹拌機をお使いください。
計量した水を容器に入れ、焼石膏を静かに散布投入してください。焼石膏を一度に投入すると気泡を抱き込むので、徐々に均一に散布するようにしてください。気泡を抱き込まないよう注意して充分に撹拌してください。低膨張石膏や樹脂石膏には、添加剤が混合してあるので、よく分散混合してください。
撹拌の初期段階では、石膏スラリーに粘性がありません。容器中では均一なスラリーに見えていても、型へ流し込んだ後、焼石膏粉と水の分離現象が生じる場合があります。型への流し込みは、石膏スラリーの粘性が増してきた時点で行ってください。また、流し込みの際は、気泡を抱き込まないよう型枠の隅の方から行ってください。
脱型は、型の温度が最高発熱となる硬化終了直後に行ってください。但し、低膨張石膏は最高発熱から数時間後(膨張の戻り現象後)に脱型するようにしてください。特に大きな型の場合は、10時間以上経ってから脱型すると、より高い精度が得られます。なお、木型からの脱型は最高発熱時点で行ってください。
石膏型は乾燥すると、濡れている状態のものに比べ約2倍の強度になります。乾燥はなるべく低温で行ってください。70℃以上の環境に長時間さらすと脆くなります。乾燥時間は型の大きさ・形状・乾燥方法により異なりますが、1kgの型では、通常室温・通風の良好な場所で約1週間、50℃~60℃の温度では約24時間です。
標準混水量(石膏粉1kgに対して水300ml)より混水量を多くして使用すると、流し込み作業時の石膏スラリーの流動性・作業性が向上します。大型の模型製作時、あるいは精密なデザイン等の成形時に適しています。混水量を多くして使用した場合の物理的性質(一例)を下表に示します。
混水量 (粉1kgに対して) |
撹拌時間 | 凝結時間 | 圧縮強度 (乾燥) |
凝結膨張率 | 表面硬度 (標準の場合を1として) |
|
始発 | 終結 | |||||
300ml (標準混水量) |
8分 | 23分 | 55分 | 58.8MPa | 0.07% | 1 |
350ml | 9分 | 20分 | 49分 | 51.0MPa | 0.06% | 0.9 |
400ml | 10分 | 19分 | 48分 | 42.1MPa | 0.05% | 0.9 |
石膏スラリーを作業に最適な状態にするために、混水量に応じて撹拌時間を長くしました。
撹拌時間を長くすると凝結反応が促進するので凝結時間は早くなります。
凝結膨張率は混水量を増すごとに低下するので、比較的大型の模型製作に適しています。混水量を増すごとに圧縮強度は大きく低下します。上表の数値(石膏粉1kgに対して水400ml)より混水量を増して使用することは好ましくありません。混水量を増やしたことによる表面硬度の低下はあまり見られません。
標準混水量(石膏粉1kgに対して水500ml)に対して、混水量を増減した場合の物理的性質(一例)を下表に示します。
混水量 (粉1kgに対して) |
撹拌時間 | 凝結時間 | 引張強度 (2時間後) |
凝結膨張率 | |
始発 | 終結 | ||||
450ml | 6分 | 15.5分 | 29分 | 2.2MPa | 0.04% |
500ml (標準混水量) |
6分 | 17分 | 30分 | 2.1MPa | 0.03% |
550ml | 6分 | 18分 | 31分 | 1.8MPa | 0.03% |
600ml | 6分 | 19分 | 31.5分 | 1.7MPa | 0.03% |
標準混水量(石膏粉1kgに対して水500ml)で、撹拌時間を変動した場合の物理的性質(一例)を下表に示します。
混水量 (粉1kgに対して) |
撹拌時間 | 凝結時間 | 引張強度 (2時間後) |
凝結膨張率 | |
始発 | 終結 | ||||
500ml | 4分 | 18分 | 31分 | 2.0MPa | 0.03% |
500ml | 6分 | 17分 | 30分 | 2.1MPa | 0.03% |
500ml | 8分 | 16.5分 | 30分 | 2.1MPa | 0.03% |
撹拌が不足すると、僅かながら凝結時間が遅延し、引張強度も低下します。 撹拌は充分に行ってください。
※なお、中子には、ハイストーンC-2型NKを使用すると、壊しやすく便利です。
参考資料:メンドプラスターとA級焼石膏を配合した場合の可使時間の変化
例えば、A級焼石膏とメンドプラスターを重量比1:1で配合しますと可使時間は20分となりますので、一度に 混練出来る量が増し、作業能率が向上します。 乾燥しにくい場所では発華現象が起きる場合がありますのでご注意ください。
重量配合比 (A級:メンドプラスター) |
1:0 | 1:0.5 | 1:1 | 0.5:1 | 0:1 |
混練水量 (粉末100gに対して) |
48cc | 54cc | 56cc | 58cc | 60cc |
可使時間 | 5分 | 10分 | 20分 | 30分 | 40分 |
凝結時間 | 10分 | 15分 | 25分 | 35分 | 45分 |
サフィを使用する地塗り作業の準備として、下記の手順でキャンバスの目止め作業を行ないます。
液の温度(℃) | 23 | 30 | 40 | 50 |
溶解時間(分) | 240 | 150 | 90 | 50 |