生産者:近藤和人 様
生産地:岡山県津山市
経営内容:水稲 5.5ha(コシヒカリ、ヒノヒカリ等) 野菜 0.1ha(ナスビ、オクラ等)
農業従事者:ご本人と奥様の二人 (専業農家になられて5年目) |
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カルゲン施用量
施肥設計
N-P-K=12-15-13 40㎏/10aを基本に、生育状況を見ながら調整
今回レポートさせていただく品種は「コシヒカリ」です。
育苗は、省力化を考えマット育苗を実践されており、今年は1,200枚の育苗を行います。
コスト面では、従来の培土を使う方が安価なようですが、大量の育苗を行うため、「重い」「移動が大変」等の理由から、マット育苗に切り替えられました。
従来の培土育苗の場合、育苗箱1枚の重量は6~7㎏になりますが、マット育苗の場合は、培土育苗の約1/3の重量で、とても軽く省力化に繋がるそうです。
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4月17日現在 浸種中で、積算温度100℃を目安に引き上げ、催芽作業に移り、4月26日播種予定です。
播種機を用いて一連の作業を行っています。
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マット育苗は、 ① マットへの灌水② 播種 ③ 覆土 の順で作業を行います。 |
近藤さんは、試行錯誤の末に当初の灌水時に殺菌剤を併用し、省力化と健苗育苗に努められています。
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播種機を使い、150g/箱(濡籾)を播種します。
播種は、マットに行い、播種後覆土のみ粒状培土で行います。
播種された育苗箱を、緑化 硬化のため露地へ出します。
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整地された苗場に農ポリを敷き、その上に育苗箱を並べていきます。
並べ終わるとダンポールでトンネルを作り、保温のため不織布でトンネルにします。
育苗期間中の灌水の省力化を考え、農ポリでミニプールを作り、その中で育苗しています。
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一番下に敷いた農ポリで育苗箱を包み込むようになるため、水がその中に溜まりミニプール育苗が可能になるようです。
20日後の様子 健苗に仕上がっています(5月25日撮影)。
今年は、育苗期間中の夜間の温度が例年と比較すると低めに推移したため、 徒長することもなく、健苗づくりができたとお喜びでした。 |
(5月20日撮影)
施用量:2袋/10aを代掻き前に全面施用
背負動力散布機で施用します。
カルゲンの元肥施用の効果は、土壌の団粒化構造を形成することによる初期生育の旺盛化と、濁水軽減です。
代掻き後翌日には、圃場の濁水は透明になります。
これは、カルゲンの主成分であるカルシウムイオンが土壌コロイドを吸着するためで、近藤さんは環境に配慮した農業を実践されています。
カルゲン施用後、土を練り過ぎないように、ドライブハローで代掻き作業を行います。(5月23日撮影)
天気の良い日を選び、田植えをします。
奥様が田植機のオペレーターをし、御主人は苗の運搬・肥料供給・旋回時の土ならし等、「地走り」と呼ばれる雑用を一手に引き受け、
ピーク時には1ha以上田植えをする日もあるそうです。
休日は、息子さんの手伝いも入るため、作業効率は飛躍的にアップするようです。
(5月25日撮影)
施用日:7月1日 施用量:2袋(30㎏)/10a 効 果:倒伏軽減、品質向上、食味向上、体質転換の促進 |
カルゲンの追肥施用時期は、出穂の45日前が適期です。
有効分けつ本数の70%~80%程度の確保時が目安です。
倒伏軽減・・・コシヒカリの場合、倒伏するのは第4~第5節間が伸長するためです。この時期に伸長する節間が、第4~第5節間です。
出穂の45日前にカルゲンを追肥施用すると、稲体の体質強化が図られ、節間伸長を軽減させることができます。
追肥施用のポイントは、浅水状態で施用することです。
これは、浅水状態でカルゲンを施用することで、圃場表面には一時的に濃ゆい濃度のカルシウム溶液が広がります。
人間の体でも作物体内でも、基本的には同じで、濃度の濃い方から薄い方へ浸透移行が進みます。浸透圧を利用し、稲体へ強制的に吸収させるため、浅水状態で施用します。
施用後そのまま中干しを行います。
田植え後、スクスクと成長してきましたが、今までは分けつを繰り返し、草丈を伸ばす栄養成長期でした。これからは、幼穂形成期に入るため、稲体の中では穂づくりが始まる生殖成長期に切り替わります。
カルゲンの追肥施用と中干により、栄養成長期から生殖成長期への体質転換をスムーズに行えるようになります。
近藤さんのカルゲン米栽培圃場は、この時期の分けつ本数が25本 草丈は53.6㎝です。 十分な分けつが確保されています。 倒伏軽減・体質強化・品質向上・食味向上を目的に、カルゲンの追肥施用を行いました。 |
散布日:8月14日・8月28日の2回 散布量:カルゲンβ1000倍液 100~150ℓ/10㌃ 効 果:食味向上・品質向上
カルゲンの実肥施用適期は、出穂後7日~10日目です。 近藤さんは、作業の効率化を考慮され、セット動噴を用いてカルゲンβの葉面散布を実施されました。 今年は、8月の天候不良の影響もあり、岡山県では「紋枯れ病」と「ウンカ」の発生が予見され、病害虫発生予察注意報が発令されました。 カルゲンβは、農薬との混用散布が可能であるため、8月14日の1回目の散布時に殺虫殺菌剤との混用散布を実施されました(8月28日散布分は、カルゲンβ単体散布です)。 |
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26年産米の収穫作業は、8月の天候不順の影響で、昨年よりも1週間遅れで始まりました。
収穫時期の草丈は、丁度1mとなり、一穂当たりの平均籾数は、147粒/10本平均でした。
カルゲン米の収穫作業は、9月16日から始まりました。
コンバインで刈り取られた籾は、すぐに乾燥機へ入れられ、乾燥作業が行われます。
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乾燥が終わり、穀温が下がれば籾摺り機で籾摺りを行います。 |
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籾摺り機 |
乾燥機 | |
最後に計量 充填作業を行います。 |
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今回栽培レポート頂いたカルゲン米は、食味分析を行います。
結果が判明次第、お知らせ致します。
近藤さんは、水稲と野菜の複合経営を実践されていますが、お母様は和牛の繁殖農家です。 和牛を育てるには、濃厚飼料ばかりでは栄養が偏る為、粗飼料と呼ばれる「牧草」や「稲ワラ」が必須となります。 カルゲン米は、玄米部分にはもちろんの事、ワラの部分にもカルシウムが豊富であるため、 コンバインにワラを結束する結束機を別途取り付け、稲ワラを粗飼料用に確保されています。 |
通常は、コンバインのカッターで細かく切り刻まれるワラですが、カッター作業を止め、結束機で結束されたワラを、圃場内で立てかけ自然乾燥させます。 ここで充分に乾燥を行わないと、発酵やカビの発生原因となるので、充分な乾燥を行うそうです。 |
乾燥が出来れば、随時牛舎へ持ち帰り、粗飼料として牛に与えられます。 牛も人間と同じで、Ca K Mgのミネラルバランスが大切との事で、カルゲン栽培された稲ワラは、母牛の大好物なようです。 |